日記
「お前、空飛べる?」
今まで考えたことも無かった。
滑空が良いところだ。
空を飛ぼうだなんて無謀だと思っていた。
馬鹿げた話をまた始めやがったと溜息をつく。
だが、「スティック押し込んでみ?」
その一言で全てが動き出す。
試しに押し込むと、今まで下しか見ることの無かったコライドンが突然空へと飛翔した。
世界が回る。
空が笑う。
いつも見ていた筈のありふれた空が、見た事のない表情を浮かべている。
俯いてばかりだったコライドンが一面の瑠璃色を見上げ飛んでいく。
眼下飛行するガブリアスを眺め、パルデアを見下ろし1周する。
やがて空は茜に染まり、見惚れる間に藍に変わる。
藍が満ちた頃、月がこちらを覗く。
今の俺なら月にだって行ける気がする。